鉄筋を使用しているマンションや、人口密集地などの住宅街だと、どうしても電波時計用の電波が受信できなくて、いつのもあにか時刻がズレていってしまうケースがあります。
モノにもよっては電波の安定受信を前提にしているため、電波受信できない状況では時刻のズレが激しい場合もあります。酷いものだと、1日で1分ずつズレていったケースも個人的には経験があります。
家中に電波時計を置いていつでも時間確認できるようにしたいという内容を以前書いて、その文末にもちょっと紹介したのですが、電波がうまく受信できないようなマンションや住宅街でも、うまく受信する方法を紹介したいと思います。
電波時計の電波はどこから?
現在、電波時計用の電波は、
- 福島県大鷹鳥谷山の「おおたかどや山標準電波送信所」(送信周波数40kHz)
- 福岡県と佐賀県との県境に位置する羽金山の「はがね山標準電波送信所」(送信周波数60kHz)
の2箇所から送信されています。この2つでほぼ日本全国をカバーできるということです(一部離島などは対象外だそうです)。2箇所とも福が付くとは縁起がいいですね。
電波は鉄筋や厚い壁などに遮られる性質があるため、戸建住宅やマンションの向きによっては、受信しやすさに差がでますし、場合によっては全く受信できない場合もあります。40KHzの方が近いのに、60KHzの方が受信しやすかったりする場合もあります。
当然、両方共受信できない場合もありますし、そうなると普通の時計、いや、場合によっては電池を無駄に消費するコスパの悪い時計、ということにもなってしまいますね。
受信しやすい場所
建材の関係で、マンションと戸建てでは受信のしやすさや、しやすい場所が違うと推定されます。
電波時計の中には、電波受信中にリアルタイムで電波の強さを表示してくれるものもありますので、そういうのをセンサーとして良い場所を探すという手もありますね。ただし、必ずしも電波が強いと表示されていても、受信に成功するという訳では無いのが悩みどころですが。。
マンションの場合
マンションの場合、電波が進みにくい鉄筋コンクリートで出来ているため、向きによっては全く受信できません。例えば東京に住んでいて、南向きの窓しか無いような場合だと、北から送信された電波は鉄筋コンクリートに阻まれてしまい、部屋までは届きにくいでしょう。
自分だったら、ダメ元で窓のなるべく端の方に”まずは一晩”置いてみます。翌日もし受信に成功していて、かつそこに置いても問題ないのであれば、そこを定位置とします。
ただ、大抵の場合、そういう場所に常時設置している時計は不便ですので、普段は見やすい場所に置いておき、数日に1回くらい移動させて電波受信させてやる感じになります。
アパートや戸建て住宅の場合
戸建ての場合、多くは木造と思われますので、電波が遮られにくいです。だから家屋の中央付近でも概ね受信は可能ですし、窓際ならもちろん更に良好だと思います。
ただし、付近に大きな鉄筋マンションや電磁波を出すような工場が有ったりすると、受信しにくくなります。1階よりも2階、3階のほうが受信しやすいですね。
また家庭用と言えども電波を出す電子機器(レンジやテレビ、無線LANルーター等)などの近くや、人がよく動く場所の近くは、受信しにくい傾向があります。
受信しやすい時間帯
一般的には、人間の生活や工場由来のノイズが最も減る深夜2時くらいが一番受信しやすいと言われています。上で”まずは一晩”置いてみると言ったのは、その時間帯に受信できるかを確かめるためです。
比較的好条件でも受信できない電波時計もある?
電波時計を分解してみると、大抵の場合、ぐるぐる巻きにされた配線(コイル)部分があることがわかります(右画像)。
これが電波を受信するための重要な部品となってまして、この部分の大きさとか、あとは”こだわり”とか”作り込み”とかで、電波時計の受信感度が大きく変わってくるわけです。
ということは・・・当然大型で高価な時計は良好な感度が期待されます。というか良好な感度でなければならない!・・・そう有ってほしい・・・です。
逆に言えば、やっぱり腕時計の場合だと、サイズが著しく制限されますから、かなり不利となります。経験的には、戸建てなら普段置いてる場所で数日に一度受信成功すれば良し、マンションならば毎日窓際に置いて月に数回成功する程度です。
電波式腕時計は、昼間、着用中に受信成功することは、まずないと思います。自動で受信を試みる時間も深夜2時くらいに設定されている場合が多いです。
絶対究極の解決策は!?
せっかく電波時計を買ったのに、電波が届かずに自動時刻合わせの恩恵を受けられないのは本当にもったいないです。
もったいないだけ、つまりプラスがゼロになるだけならまだ良いですが、実は電波が届かないことで、精神的にはプラスからマイナスに転落してしまいます。
本来は常に正確な時刻を表示してくれるべきものが、正確かそうでないか分からなくて不安で、何とか受信させようと部屋中を右往左往しなきゃいけない訳ですから。期待が裏切られるのは、とっても辛いことです。。
そんなわけで、私は電波時計が自宅マンションでは受信しにくいと分かってすぐに、リピーターというものを買いました。
リピーターとは?
ここで言うリピーターとは、一旦電波等で正確な時刻を受け取って、その情報を元に、再度電波を発信するための機器を言います。( ”常連客”という意味では、当然ありません。)
一昔前のリピーターと言えば、下記Aのタイプ、すなわち、一旦窓際などで何とか受信した電波を再送するものでした。代表的なものに、リズム時計工業(CITIZENとかのですね)のACウェーブテラーがあります。
しかし、近年はネット環境が整ってきて、下記のBタイプ、すなわち、NTP(インターネット上で標準時刻を提供するサービス)を利用したリピーターも出てきています。
その他、ウルトラCタイプとして、パソコンで標準時刻をNTPで受信し、その情報をスピーカーから発信する、というものもありました(実際やってみると、高周波音がうるさくてやめてしまいましたが)。また、秋葉原界隈では何やらオーダーメイドで高性能なリピーターの受注なり作成なりを請け負っている所もあるとかなんとか。。。
リピーターの選び方
10年前はまだまだネット環境が十分整っていなかったこともあり、私は上記Aタイプのリズム時計工業製のACウェーブテラーを買いました。
このAタイプについては、
- 窓際等で頻度は低くても受信に成功することができる
- 電源を確保できる
- 窓際でも目立たない設置スペースを確保できる
といった条件を確保できるご家庭に向いています。いや、別に目立ってもいいんですけど、すごくデザインに優れている訳でもないので。。
うちの場合、受信成功頻度は週に2~4回くらいですが、このウェーブテラーは電波受信できないときの精度も高い(週に数秒もズレない)ので、全く問題なく使用してきました。
一方で、家中どこを探しても、全く受信出来る場所が無い住宅もあるかと思います。これではAタイプは全く役にたちませんので、Bタイプ、つまりインターネット経由で標準時刻を取得し部屋に標準時刻電波として発信するタイプが適しています。
つまり、Bタイプについては、
- インターネット常時接続環境が確保できている
- 電源を確保できる
- ネット接続可能で、かつ目立たない設置スペースを確保できる
といった条件を確保できるご家庭に向いています。最近はネット接続環境が無い家庭も少なくなってきてると思います。無線LANを使用しているご家庭も多いと思いますので、その近くに置くという手もありますね。ただ、あまりルーターに近づけすぎると標準電波の安定送信に悪影響があるかもしれないので、できれば別の有線LANと電源が確保できて、かつ目立たない場所に置けると安心です。
失敗しないリピーター選び
これなら大きな失敗はなさそう!というものを念のため紹介させて頂きます。まだまだかなり雑な製品とか、機能が不十分な製品とか、無駄に高額なものも出回ってるので注意です。
<Aタイプ:窓際で何とか受信が可能な家の場合>
現在販売終了している模様なので後述のBタイプを検討下さいませ~
実はAタイプの場合、上述したリズム時計工業のACウェーブテラーほぼ一択です。他にも受注生産するタイプとかあるみたいですが、正直お高いです。自分は数年使ってますが、全く不満がありません。当時は1万円くらいで購入しましたが、今はいくら位でしょうかね?在庫が少ないみたいなので、心配ですが。。。
ACウェーブテラー 詳細
発信側の周波数を60KHzと40KHz選択できますので、仮に所有している電波時計がどちらかしか対応してないとしても、時刻を合わせることができます。
<Bタイプ:家中どこも標準電波は受信できないけど、ネット接続環境ならある家の場合>
Bタイプの場合も、ある程度実績のあるメーカーで、評判も良くてと考えると、下記2つがベスト。一般的な広さのマンションなら、1台でほぼ家中の電波時計を合わせることができると思います。こちらも発信側の周波数60KHzと40KHz選択することができます。
1つめ(P18-NTPLR)については有線LANで、2つめ(同WR)についてはWifi接続となります。
間違って1mしか電波が広がらない下位バージョンを買わないようにしましょう。一応、2024年ではもう下位バージョンは見当たらず、販売していないようですが、念の為。必ず電波が10m広がるものにしましょう。
というわけで、リピーターを手に入れて、時計合わせのストレスの無い快適な電波時計ライフを送りましょう!