以前、24時間換気が原因でエアコンつけてても寒くて参ったという記事を書き、多くの方が訪問してくださいました。
この時は自分の自宅マンションに設置されているマックス社の1機種の場合の調整方法だけを書いたのですが、結構多くの方が訪問していただいたとなると、もうちょっと詳しく調べて書いても良いんじゃないか?と。
というわけで、主だったメーカーさんの換気システムの風量調整方法を調べてみました。
https://magtanate.blogspot.com/2016/11/24h-kanki-first-post.html
DIY360
はじめに注意しておきたいこと
24時間換気(常時換気)は居住者の健康のため
建築基準法の改正(2003年7月1日施行)により、換気設備の設置が義務付けられました。
建材から出るホルムアルデヒドやその他VOC(volatile organic compounds; 揮発性有機化合物)が人体へ与える影響を考慮してのものです。
よく「寒いから24時間換気を止めちゃいました!」みたいな書き込みを見かけるのですが、完全停止はおすすめできません。特に新築や新しい家具購入時なんかは、絶対に止めない方がいいです。あと、最近の住宅は気密性が高いので、酸欠にもなりかねません。
ただ・・・、ある程度年数の経過した住宅や、新しい家具の無い家庭の場合はどうでしょうか?永遠に高濃度で出続けるVOCなんてありません。(あったら永久機関)
外気にはホコリや花粉、場合によってはウイルスとかタバコなどの悪臭が含まれていて、また室温として望ましくはない冷気だったり熱気だったりします。
そんな状況で、あまりに速い換気速度で外の空気をどんどん入れるというのも考えものですよね。
したがって、できれば適宜、風速(換気量)を調整できると嬉しいですが、一方で法的義務でもあるため、一般ユーザーは簡単に調整できないようにもなっているのが現状です。
今回の調査対象
今回は、1室用から、分譲マンションの浴室に設置されるようなやや大きめの3室対応型の換気システムのメーカーを主な対象にしました。
理由ですが、そもそもワンルームのリビング壁面用など小型のものだと、調整できないような機構になっているか、あるいは調整できたとしても強弱の2パターンくらいしかできないケースが多いからです。
ちなみに浴室乾燥機という市場で見ると、マックスとTOTO、パナソニックでほぼ50%以上のシェアを占めるようです。そこに三菱や東芝、高須産業を入れてやれば、ほぼ網羅できるのではないかと期待してます。
調整できない機種だった!という方へ
ちなみに調整できない機種だった場合、機種自体が古い可能性もありますので、調整できる機種に交換することを考えても良いかもしれません。
こういった製品は基本的には10年を目安に更新していった方が、安全性からも機能面の進化からもオススメです。
最近の浴室換気乾燥機について、価格がどんな感じかを、
自分で設置できる場合もあるかもしれませんが、基本的には電気工事士の資格が必要な工事ですので、工事士の資格をお持ちでない場合は、設置工事込で購入できる業者から購入しましょう。
MAX(マックス)製の場合
MAX製品の場合ですが、1室対応タイプと複数室対応タイプで方法が異なるようです。
1室対応タイプ(BS-161Hを例に)
- 停止ボタンを押して動作を停止させる
- 24時間換気ボタンと乾燥ボタンを同時に3秒以上押す(暖房ボタンの弱ランプが点灯し、3秒後に点滅に切り替わる。この時点では弱暖房運転の浴室温度設定モードになっている)
- タイマーボタンを2回押し、24時間換気ボタンを点灯させる(点灯後、3秒後に点滅に切り替わり、24時間換気の風量設定モードとなる)
- 換気ボタンを押して、風量を設定する。※出荷時設定は80m3/時間。なお選択肢は2つしかなくて、
- タイマーランプが8→80m3/時間
- タイマーランプが6→60m3/時間
- 設定完了後、タイマーボタンを押すと設定が保存されるので、停止ボタンを押すか、あるいは30秒放置して設定を完了する
2室/3室対応タイプ(BS-132HM/BS-133HMを例に)
これは前回報告した通り、リモコンのカバー(パネル)を外し、奥にあるディップスイッチと呼ばれる小さいスイッチを動かして設定します。(ちなみに前回は古いタイプでしたが今回は現行タイプの設定例です)
こんな感じでカバーの側面から爪などを引っ掛けて外します。(写真は前回の記事からなので旧型ですが、やり方は同じです)
設定時は浴室用の電源のブレーカーを一旦落とします。2室用と3室用でスイッチの設定が異なりますが、次の図を参考に設定できます。
設定後に再度ブレーカーを入れ通電させます。旧機種の場合もそうでしたが、通電時は窓を開けて換気の抵抗が無いようにしておくと、機器による自動調整の影響(換気量が設定より高めになってしまう)を排除できます。
Panasonic(パナソニック)製の場合
Panasonicの場合も、1室換気と複数室換気タイプで違うようです。
1室対応タイプの場合(設定可能と不可能タイプがありそう)
現行では3種類を展開しているようですが、換気風量が設定可能なものとそうでないものに別れているようです。
設定不可
設定可能
となってます。
なぜ同じ1室換気でも設定できるタイプとできないタイプがあるのか?よくわかりませんが、とりあえずFY-13UG5Vについては下記の方法で設定できます。
ちなみに本体側での操作となります。リモコン自体は使いません。
- 24時間換気運転中に、リモコン受信部の予備暖房/切ボタンを5秒程度(点検ランプが点灯するまで)押します
- 予備暖房/切ボタンを離すとブザーがなります。
- ブザーが2回鳴った場合は、風量設定が弱→強に切り替わったという合図です
- ブザーが1回鳴った場合は、風量設定が強→弱に切り替わったという合図です。
- すなわち、上記1~2を繰り返すことで、強弱運転を切り替えることになるようです。
ちなみに工場出荷時設定は弱とのことですが、設置業者さんが部屋の広さや様子から強運転に切り替えた可能性もありますので、一度確認してみると良いかもしれませんね。
2室対応タイプの場合(FY-13UGP4D/FY-13UGT4Dを例に)
この操作は本体停止中に実施する必要があるため、一旦ブレーカーを落とし、再びONにしたタイミングで設定する必要があるかもしれません。(いや、単に24時間換気ボタンを3秒押して停止しただけでもいけるかも・・・まずは簡単な方から試してみてください・・・すみません)
- バス換気乾燥機が停止中にリモコンの▼ボタンを4秒以上押す
- 残り時間表示部に”E0□”が表示されたのを確認
- 残り時間表示部に”J□□”が表示するまで▼ボタンを押す
- J06→60m3/時間、J08→80m3/時間、J10→100m3/時間、J12→120m3/時間、J15→150m3/時間、を意味していて、希望の風量の表記になるまで▲(上向き三角)ボタンを押す
- 希望の風量の表記になったら、切ボタンで完了させる。
という感じ。
ちなみに24時間換気の風量でなく、風呂上がりの浴室換気などの風量も設定できるようで、
- 換気(強)風量の場合:表示部がL01→150m3/時間、L02→180m3/時間、L03→120m3/時間
- 換気(弱)風量の場合:表示部がL01→60m3/時間、L02→80m3/時間、L03→60m3/時間
となるようです。細かく設定できるのは嬉しいですね。
MITSUBISHI(三菱)製の場合
三菱製の場合、ACモーター使用の製品とDCモーター使用の製品で別れていて、ACモーター品の場合は24時間換気風量設定が出来ない仕様のようです。
1室対応タイプの場合
V-141BZという製品が現行の1室対応品ですが、この製品はACモーター使用であり、従って24時間換気風量の設定はできません。
2室対応タイプの場合(V-142BZL2/V-143BZL2を例に)
- まずは24時間換気運転中に、停止ボタンを3秒以上押し、停止させます。
- 次に停止を押しながら換気を同時に3秒以上押します(→ピーという音がして、表示が”J- --”に切り替わります)
- 涼風ボタンを押します(→表示が”J0 A3"等に切り替わります)
- ▲すすむボタンを押し、設定値を変更する。表示と風量の関係は、A1=60m3/時間, A2=80m3/時間, A3=100m3/時間, A4=120m3/時間, A5=140m3/時間, A6=160m3/時間, A7=180m3/時間となります。
- 停止ボタンを押し、終了。
<※重要※>マックス製の場合と同じく、初めて設置する場合や、停電後などに再起動する場合は約5分間、ファンの自動調整が入ります。この時に窓を閉めていると、上記設定値を達成するためにファンの回転数が高めになり、場合によってはかなりうるさくなります。設置業者さんがどういう状態で初期設定したかはわかりません。
これを避けたい場合は、システムのブレーカーを一旦オフにして電源を落とし、窓を開けた状態で再度オンにします。表示部の”H0 --”が消えて運転初期状態になったら、上記の操作2~5で設定値を確認し、その後24時間換気ボタンを押し、自動風量調整が終わるまで(約5分)待ちます。
ご参考まで
ちなみに、入浴後の換気など換気ボタンを押したときの風量の設定は下記の通りです。
- 上記の操作1~2をする
- 換気ボタンを押す(→表示が”J1 A2"等に切り替わります)
- ▲すすむボタンを押し、設定値を変更する表示と設定値の関係は、A1=160m3/時間, A2=180m3/時間, A3=200m3/時間, A4=230m3/時間となります。
- 停止ボタンを押し、終了。
TOSHIBA(東芝)製の場合
三菱製の場合と同じく、ACモーター使用の製品とDCモーター使用の製品で別れていて、ACモーター品の場合は24時間換気風量設定が出来ない仕様のようです。
1室対応タイプの場合
DVB-18SS3という製品が現行の1室対応品ですが、この製品はACモーター使用であり、従って24時間換気風量の設定はできません。
2~3室対応タイプの場合(DVB-18SWD、DVB-18STDを例に)
DVB-18SWD3やDVB-18STD3がDCモーター使用で、設定が可能です。一方でSW3やST3など”D”がついていないタイプはACモーター品なので設定できません。
設定方法は、
- 入タイマーボタンと切タイマーボタンを同時に3秒以上押す(→タイマー表示部が”ーー”で点滅になる)
- 24時間換気ボタンを押す(→タイマー表示部が”b○”に変わる。○は数字)
- 入タイマーボタンあるいは切タイマーボタンを押して表示部の数字を変更する。風量は、b1=45m3/時間, b2=65m3/時間, b3=80m3/時間, b4=100m3/時間, b5=120m3/時間, b6=140m3/時間(STD3だと150), b7=160m3/時間(STD3だと180)。
- 停止ボタンを押して終了。
ご参考まで
ちなみに、入浴後の換気など換気ボタンを押したときの風量の設定は下記の通りです。
- 入タイマーボタンと切タイマーボタンを同時に3秒以上押す(→タイマー表示部が”ーー”で点滅になる)
- 換気ボタンを押す(→タイマー表示部が”A○”に変わる。○は数字)
- 入タイマーボタンあるいは切タイマーボタンを押して表示部の数字を変更する。風量は、A1=190m3/時間(STD3だと210), A2=210m3/時間(STD3だと230)。
- 停止を押して終了。
TOTO製の場合
1室~3室対応タイプの場合(TYB3111GAやTYB4013Gを例に)
- 止ボタンを押して運転を止める
- 切タイマーボタンを押しながら暖房ボタンを同時に5秒以上押し続ける(→フィルター清掃ランプが点滅し、設定変更モードになる)
- 24時間換気ボタンを押す(→24時間換気ランプが点滅する)
- 切タイマーボタンを押して、設定値を変更する。設定値は下表を参照。
- 24時間換気ボタンを押す(→24時間換気ランプ、切タイマーランプ、フィルター清掃ランプが消灯し、設定値確定となる)
ご参考まで
ちなみに、入浴後の換気など換気ボタンを押したときの風量の設定は下記の通りです。
- 上記1~2の操作をする
- 換気ボタンを押す(換気ランプが点滅)
- 切タイマーボタンを押して、設定値を変更する。設定値ですが、切タイマーの表示の数値が大きいほど風量が大きくなります。
- 換気ボタンを押す(→換気ランプ、切タイマーランプ、フィルター清掃ランプが消灯し、設定値確定となる)。
高須産業製の場合
1室対応タイプの場合
BF-231SHAが相当するのですが、どうやら24時間換気風量の設定は出来ないようです。残念。。見た目は下記532SHFなどと同じなので注意です。
2室対応タイプの場合(BF-532SHFやBF-533SHFを例に)
BF-532SHFやBF-533SHFの場合ですと、下記の通りとなります。
- 停止ボタンを約3秒間長押しして、動作をすべて停止する。
- 停止ボタンとタイマー設定ボタンを同時に約3秒間長押しする(→風量強・弱ランプが点滅して、設定変更モードになる)
- 24時間換気ボタンを押す(→ランプが点滅する)
- タイマー設定ボタンを押し、設定値を変更する。設定値は0.5=40m3/時間, 1=60m3/時間, 2=80m3/時間, 3=100m3/時間, 4=120m3/時間, 6=140m3/時間, 8=160m3/時間, 10=180m3/時間となります。
- 設定し終わったら、停止ボタンを約3秒長押しし、設定変更を確定する(→全てのランプが消灯)。
ご参考まで
ちなみに、入浴後の換気など換気ボタンを押したときの風量の設定は下記の通りです。
- 上記操作1~2をする。
- 換気ボタンを押す(→ランプが点滅する)
- タイマー設定ボタンを押し、設定値を変更する。設定値は0.5=120m3/時間, 1=140m3/時間, 2=160m3/時間, 3=180m3/時間, 4=200m3/時間となります。
- 設定し終わったら、停止ボタンを約3秒長押しし、設定変更を確定する(→全てのランプが消灯)。
最後に
各メーカーについて、浴室換気乾燥機の24時間換気風量の設定方法を調べてみました。メーカーによってやりやすかったり少し手間だったりとなかなか興味深い結果となりました。
また1室対応品では設定ができないタイプが多かったのも気になりました。需要が無いわけではないと思うのですが・・・。コストとのバランスもあるんでしょうね。
今回、24時間換気風量の設定方法を紹介しましたが、決して風量を弱めることを推奨するわけではありません。しかしながら、マンションの経過年数やその他必要に応じて調整できる機会があってもいいと思うこと、またそもそも設置時に適切な風量設定になっているか知ることも必要かと思いますので紹介させて頂きました。