※当ページのリンクには広告が含まれています

プリファレンス・マッピングをRのSensoMineRで…ケンタッキーフライドチキン

2024年9月17日火曜日

アプリ・ソフトウェア

X f B! P L

子供が誕生日にフライドチキンが食べたいというので、ケンタッキーまで行ってきました。真冬の寒空の中、自転車で15分。きつかった。。

オリジナルチキン10個買ったんですが、開けてビックリ、というか知ってたけど、ピースごとに全然大きさが違うんですね。

大きいものだとずっしり重いし、小さいものだとオマケかな?と勘違いするレベル。で、直感で評価するのは良くないので、重さを測定してみたらやっぱりかなり違う!ってことで、ブログのネタにしようとしたんですが・・・

ググってみたら、もう既に多数の方に書かれてました!

うーん、せっかく測ったのに…でも使い古されたネタやってもしょうがないしな…ってことで悔し紛れですが、味とか食べやすさとか好き嫌いを点数つけて、それっぽい解析してみようか・・・

ということで最近良く聞くプリファレンスマッピング(preference mapping)を試してみました。

フライドチキン10ピースの重量測定結果

ケンタッキーのフライドチキンですが、チキンのいろんな部位の素材が使われています。これについてはGoogle先生に聞いてみると解説サイトがいっぱい出てきますので、省略しますね。

ちなみに今回10ピースまとめ買いした時は下記のような構成でしたが、店の在庫等の事情で変わるようです。

  1. キール(胸):2ピース
  2. リブ(あばら):2ピース
  3. サイ(腰):2ピース
  4. ウイング(手羽):2ピース
  5. ドラム(足):2ピース

それぞれ重量を測ってみた結果です。

1.キール(胸)

2.リブ(あばら)

3.サイ(腰)

4.ウイング(手羽)

5.ドラム(足)

本当は骨を除いた可食部のみを測定すべきですね。骨の重さは大体ドラム30gリブ20gキールサイウイング15gといったところです。

2個体の平均から骨の重さを差し引いて表にすると、、、うーん、ドラムとウイングのコスパの悪さが際立ってしまいますね。

各部位の重量(g)
個体1
個体2
平均
可食部
キール(胸)
134
122
128
15
113
リブ(あばら)
146
124
135
20
115
サイ(腰)
137
131
134
15
119
ウイング(手羽)
80
77
79
15
64
ドラム(足)
85
85
85
30
55

とまぁ、こんなデータが取れたんですが、やっぱり自分で測定してみると実感が違いますね。特にドラムの良い所って何なのでしょうね。肉質とかジューシーさが好きって意見もあるようですが、自分にはちょっと物足りないです。

でもケンタッキーさんは重量が違うにもかかわらず同じ価格でドラムとサイを販売していることを考えると、肉質とかジューシーさとか、”感覚”で評価される部分に実は価値があると判断しているのかもしれませんね。

単に面倒なだけかもしれませんが。。

で、残念ながら、上述の通り、重さを測ってみたブログは多数存在するので、これだけでは新しさはありません。

悔しいのと、まあせっかくの機会でもあるので、その肉質とかジューシーさといった”感覚”的な評価(官能評価と)消費者嗜好性(好み)を結びつけて解析するプリファレンス・マッピングを試してみることにします。

 

プリファレンス・マッピングとは

(専門家ではないので、変な点はスルーして下さいね!)

プリファレンス・マッピング(Preference Mapping; PM)は1980年台に基礎が開発された手法で、これを使うと色々な対象(製品)の官能評価と消費者嗜好性をまとめて1つのグラフ上に表現することができます。

製品と官能評価、あるいは製品と消費者嗜好性の関係だったら、主成分分析(Principal Component Analysis; PCA)やいわゆるコレポン(Correspondence Analysis; CA)で2次元(あるいは3次元)にマッピングすることができます。

でも2つの図を見比べながらあれこれ考えないといけないのが面倒だし、他人に説明する時に説得力が落ちる感じ。

プリファレンス・マッピング法を使うと、それら3者の関係性をまとめて表現することができます。うーん便利(自分の理解はこんな感じ)。

詳しくは相島先生による解説をご覧ください。

このプリファレンス・マッピング法ですが、近年は食品開発の分野での利用が凄く高まっているそうです。ポッカさんもレモン飲料の開発に利用した例をプレスリリースとかしてました。

このように面白そうな手法ではあるんですが…。。常に残念なことに、やり方を私のような理解力に乏しい人間に分かりやすく説明してくれるサイトが無いのです。。

統計ソフトのXLSTATってやつを購入すると説明サイトも一応あるので取り組み易いようですが、企業や個人が導入しようとすると1ライセンスあたり20万円とか30万円とか、かなり高額です。正直しんどい、ちょっと試したいだけなのに・・・って思う人多いと思います。

一方で、統計解析系のフリーソフトであるRと、ライブラリのSensoMineRを使うと、無料で実行することができます。

また最近ですと、やはりフリーソフトであるConsumerCheckでも実行できるようです。

 

フライドチキンの官能評価とプリファレンス・マッピング

プリファレンス・マッピングの計算を行うには、複数(できれば6種類以上)の製品と8人程度以上の嗜好性調査結果が必要です。官能評価項目数との関係とか詳しくは調べてないのですが、大体そんな感じです。多分。。

官能評価データ

今回は官能評価項目として、

  1. ジューシー感
  2. 肉のパサつき感
  3. 肉の旨味
  4. フレーバー
  5. 食べやすさ
  6. 重量感

を選びました。もちろん熟考しましたが、やや適当に選んだ感じもあります。家族にアンケートをとって、平均を表にするとこんな感じ。本当はもっと数字の意味付けをきっちりしないといけないけど、まあ個人ブログなんでそこは適当です。

ちなみにチキンの種類が少なすぎると計算できないので(エラーが出る)、ナナチキとファミチキも足しました。

嗜好性データ

次に好み(嗜好性)を聞いていきます。これは友人に適当に聞いて回ります。

ちなみに官能評価の結果をRで主成分分析(PCA)するとこんな感じです。

PCAを含めて、多変量解析については良書がありますね。今回は(Pythonでなく)Rなので、Rの本だけ紹介します。

Rによる多量解析入門 データ分析の実践と理論 を見てみる


RのSensoMineRの場合

嗜好性調査も合わせてSensoMineRでプリファレンスマッピングを描かせるとこんな感じ。

赤が濃くなるほど嗜好性評価が高いという感じらしいです。今回はサイ(右下エリアにあります)がいい感じですが、より赤い所へ行くためには、改良の余地がありそうです。少し左上方向に持っていくとしたら、主成分分析結果を見る限り「食べやすさ」を改善し、「パサつき」を抑えていく感じでしょうか。

一方でドラムやリブはイマイチな感じでした。やっぱり差がデカイなぁ。。

ナナチキよりはファミチキの方が評価高そうな感じですが、N数少ないのと官能評価が適当なので、事実ではないと思いますです、はい。あまり深読みしないでくださいませ。。私はナナチキの方が好きです。

ConsumerCheckの場合

このConsumerCheckというソフトですが、調べた限り怪しいわけではなく、むしろデンマーク食肉研究所や大学などしっかりとした施設とコラボレーションしていることが記載されています。

あまり細かい説明はしませんが、データを官能評価と嗜好性の2パターン用意する必要があります。

日本語があると文字化けするらしいので、以下のように2つ、英数字のみからなるExcelファイル(.xlsx)を用意しました。

官能評価データ

次の表のような感じで、日本語は使わずに作成します。普通にExcel(.xlsx)ファイルとして保存するだけです。

 

嗜好性データ

同じく、英数字のみで普通にExcelファイルを作ります。


操作

官能評価データを読み込み、データタイプをsensory profilingに、嗜好性データはconsumer likingに設定して、Prefmapタブでそれらのデータを選択して(2つ選択するボックスがあります)、パラメータを選んで、後は左のペインから見たいデータを選ぶだけです。

RのSensoMineRのように等高線で描くことは出来ず(私がやり方を知らないだけ?)、放射状にいくつかに分割されたエリアが消費者の好みに応じて色分けされるのみのようです。

ちなみに分割数は4~12くらいまで選べます。嗜好性がジューシーさと関係が強いというのが見て取れます。

SensoMineRとConsumerCheckのどっちを使う?

両方使ってみた感想です。

まずSensoMineRについては、以下が良いなと私は思いました。

  • 日本語でプロットできる(これはRの仕様に依存する部分ですが)
  • 見た目や表現が豊かで、選択肢や自由度が高い
  • 別途用意すれば、デフォルトのPCAからの座標だけでなく、CA(コレスポンデンス分析)した製品座標も、嗜好性データとともにプロットしてくれる

またConsumerCheckについては以下が良い感じでした。

  • 面倒な環境構築が不要、ダウンロードするだけで使える(RとSensoMineRだと、初めての方だと30分以上はかかるのでは?)
  • 官能評価データと嗜好性データを別ファイルで用意すればよい(SensoMineRだと、渡すデータフレームの形状が特徴的で、またRに読み込ませた後の選択操作が少しだけ面倒)

それぞれ良し悪しあるので、必要に応じて使い分けるのが良いかと思いました。

最後に

やっぱりケンタッキーさん、オリジナルチキンは部位別に、あるいは重量で値段変えて頂けないでしょうか、満足感に差がありすぎるんじゃないかと思います。子どもたちに分ける時も凄く気を使うし。。

あとSSensoMineRのプリファレンス・マッピングですが、細かいやり方は面倒なのですっ飛ばさせて頂きました。

ただ、もし自分もちょっと試してみたい、という方がいらっしゃいましたら、下記をどうぞ。

プリファレンスマッピング 簡易手順書へのリンク

Rとかパッケージとか全然わからんけど、とりあえずプリファレンスマッピングしたい、どうすりゃいいの?って人向けに箇条書きで手順が書いてあります。値段も小遣い程度なので、経費で落とせなくても、個人で余裕で買える値段です。


あと、今回のようなデータは対象外ですが、毎月の売上や降水量など、時系列のデータなんかを「動くグラフ」(モーショングラフ、モーションチャート)として簡単に、Excelで作成できるようにしました。データ活用と魅せる化の工夫として同じカテゴリーかなと思いましたので、紹介させて下さい。
<Excel>滑らかに動く(アニメーション)グラフを作るための3つのステップ
https://magtanate.blogspot.com/2021/08/3-steps-to-smooth-motion-graph.html
DIY360
プレゼンに便利!Excelで動くグラフ(モーショングラフ)を作る方法
https://magtanate.blogspot.com/2021/08/easy-motion-graph-file.html
DIY360
<Excel>バブルを動かす!モーションバブルチャートの作成方法
https://magtanate.blogspot.com/2021/08/moving-bubble-chart.html
DIY360

QooQ